本当にあった怖い話

「ねえ、加藤さん、噂・・・きいた?」

「噂?知らない。聞かせて」

「あの使われてない旧校舎の教室で、2組の子が見たんだって」

「(ゴクリ)見たって、まさか・・あの・・」

「うん、セックス」

「うそー!セックスって本当に見えるの?」

「どうやら、見えたらしいよ。確か加藤さん信じてなかったよね?」

「信じてない。私、セックスとか一回も見たことないし。見間違いじゃない?プラズマじゃない?」

「そう思って、私も昨日、旧校舎に行ったの・・・」

「えー!行ったの?で?で?」

「そしたら、なんか、廊下歩いてたら、使われてないはずの教室から・・・女の人の声が」

「こわー!」

「なんか、こう、すすり泣く、みたいな」

「そ、それ、マジじゃん?マジのセックスじゃん!」

「でね、私勇気出して、覗いてみたの」

「100%勇気!」

「うん。そしたら何か、薄暗い教室で、なんか動いてるのが、うっすら見えて」

「こわー!こわー!」

「なんか、女の人が倒れていて・・」

「ヒー」

「で、その女の人の上に、男が覆いかぶさるように・・」

「男ー!男って、あの 男のこと?!」

「うん、見た。あれは多分、男だった」

「こわー!男って本当にこの世にいたんだ・・・もう、おちおち夜も眠れないよ」

「で、私、もうセックス見ちゃった!って思って、一目散に逃げたんだけど・・・」

「うん」

「・・でも、なんか家に帰ってきたら、雨も降ってないのに、パンツがびしょ濡れで」

「それ、セックスのしわざだよ!!!」

「どうしよう、加藤さん!私、呪われちゃったかもしれない!!」

「こわー!
 でもセックスを見ると、数年以内にセックスされるっていうあんな呪いなんてインチキだよ!」

「でも、もしセックスになったら、お腹が腫れあがって、
 下半身から得体の知れない生き物が出てきたりするんでしょ?どうしよう・・」

「・・・あ、でも確か、守りの呪文があったはず・・」

「・・・なんだっけ?」

「「今度、産む」!だよ!これを何回も唱えるんだよ!」

「そっか、わかった!加藤さんも気をつけてね!」


あれから数十年。
何人もの友達が、セックスにとりつかれてしまった。

私がいままで、29年もの間、セックスに関わらず平和に暮らしてこれたのは奇跡としか言えない。

でも、もう、私の大事な仲間たちだけがセックスに関わっていくのを見たくはない。
私も戦う!

私は、ついに立ち上がることを決めたのだ!

出てこいセックス!さあこいセックス!かかってこいセックス!今年中に来い!今年で30だよ!

閃きの処女

『男はオオカミなのよ、気をつけなさい』 ピンクレディー

ニホンオオカミは、19世紀までは各地に分布していましたが、
 1905年1月に、奈良県で捕獲された若いオスを最後に生息情報がなく、
 この後まもなく絶滅したと考えられています。』 
環境省「インターネット自然研究所」

『1990年、小学校の運動会の棒倒しで、一度だけ男子に押し倒されました。(棒ごと)
 あれがラストチャンスでした。』 
加藤はいね(28)




今日はね、朝 目が覚めると共に、自分がなんで処女か分かった。ひらめいた。

理由があったんだ。ちゃんと。


股間がね、アバウトな位置にありすぎ。


これです。
これにつきる。

位置関係がどうも。っつーこと。

私みたいにね、蝶よ花よと育てられちゃうとね、
まずね、見つかんない。

下すぎ。
20年間くらい、全然視界から消えてたからね。

さすがにね、何かしらの毛とかがね、颯爽と生えてきた頃には、
「何かあるな」と、「ここには何かある」とは思ってた。

でもさ、そもそも、相当胡散臭い場所じゃない、そのへん。
できれば、自分でもなるべくお近づきたくないスラム街。目が合ったら絡まれそう。

もっとね、いい場所あったんじゃないのかって。
左胸の上らへんとかにあっても良かったんじゃないかって。


だけどさー、大人になるにつれ、世論はさー、下の穴、とか、下のお口は〜とかザワついてくるし、
なんなら、燃えさかる建物を前に「まだ下のお口が出てきてないんです!」とかね、言い出してもおかしくない。
ならば、私くらいのレンジャーになると、おのずと要救助者を探しに行くよね。
かかんにバケツの水をかぶって、下のお口を助けに、火の中飛び込んでいくよね。

で、アレ?ってなるよね。

口とか穴とか言ってるから、私、結構●←こういうやつ探しちゃってたけど、居た?

何かエイリアンの口の中のちっちゃい口、みたいのは居たけど。


で、また、ひらめいた。
位置が分かりづらい上にね、門構えのデザインが斬新すぎ。

ほんとね、招く気あんのかって。

お店だったら最悪の立地条件。
ここ入れるの?ってなる。
今日やってるの?ってなる。

そのくらい、酷い門構え なんです。

RPGで言ったら、完全に敵キャラ。
遭遇した時点で、何らかのバトルに突入してる。
ピンチになったら、仲間とか呼びそう。

あんなんをね、愛する人の前に持ってけるかっつーの。
むしろ仕舞うっつーの。
留守番させるっつーの。

ところがだ、
世の中では、ごく普通に色んなことが営まれてるわけです。

「昨日、彼と〜ニャフニャフ〜」とか、友達が平日に普通に言ってくるわけです。

大丈夫かと。
彼は無事なのかと。

ほんとね、世の男性達の勇気は異常。
本物のレンジャー、超いた。
あんな不利な戦いに挑んでいく男達がいた。

あの町、この町で、レッドクリフが繰り広げられてた。


で、まぁうちのクリフなんですけど、攻め落とされる準備は万端です。
最寄りの駅からの道順もバッチリ。
是非!と。

多分ねー、ドラゴンボールとかも、こん中に2,3個 転がってるので。

そう、エロは浪漫だったんだよ!

営みたい!

すきあらば、育みたい!


もうね、名実ともに、28歳です。
気を許すと、変な風格とかね、徐々に出始めてる。
なのに、なんらかの手違いで、痛恨の営みゼロ。

「ちょっと出遅れた」で言い訳できる時期は完全に過ぎ、
28歳にして「ごめん、今、起きたとこ」。
んで、気付いたら、二度寝してた。

みたいな感じになっちゃってる――――――!


もうね、下半身がね、完全にリーマンショック
ほんとね、私の下半身だけ、間違ってビック3に含まれちゃってんじゃないかっつーくらい、
経営がね、傾いてる。経営難。
下手したら、明日あたり、私の下半身、派遣村にいるかもしれない。

私を守り抜いてきた操の方も
「あれ、俺、本気出しすぎた?利き手 無しにしようか?」
って、変な気ぃ使う。


利き手、無しでお願いします。


もーさー、営むも何もね、すこぶる営業してんの。のれん下げたこと、ねぇの。
私の下の方にある店の入り口では 店主がね、今か今かと クラッカー持って待ってんの。28年。
くすだま の糸を握って待ってんの。28年。

なのに、ひとっこひとり来ねぇの。
クラッカーは、しけるし、
くすだま、もげる。

おやおや、下の お口は正直だね。なんつって、
うちのお口、28年無言だかんね。
うんともすんとも言わない。
可愛いお声を聞かせてよ。


でもね、こんなにも心技体が揃ってる処女はいないんです。
イメージトレーニングは年単位で積んでるし。

時は満ちた!だいぶ前に。
さぁ来い!

と、思ってたんだけど・・・さ。


先日、相撲を見てましてね、
朝青龍とかね、がぜん取り組んでたんですけどね、
それを冷静に見つめる自分がいまして、
んで、ピンと来た。

あのさ、男女の営みってさ、もしかして全然エロくないんじゃない?
ほんとんとこ。


なんかね、今まで漠然と 裸とか見たら、おのずと ド・ピンクな気持ちになりまして、
自然な流れで、自動的に指と指とが こう絡まって行くような気でいたんですけど、

昨日ね、相撲見ててね、普通に「がんばれーがんばれー」つって応援してたんですけど、
よくよく考えてみたら、朝青龍 裸だった。

「まわし 付けてる」って言葉に完全に踊らされてた。
まわし付けてっから、大丈夫な気になってた。
でもね、ふと、冷静に「まわし」について考えた時、
あ、全然大丈夫じゃねぇ・・・!って。

だって、あれは、は・・・裸じゃないですか!(ズバーン!)

よく見て!バストとかね、モロ出しです。
ダンプ松本もいないのに、全員ポロってなってる。自動的に。
事務所とか、どうなっちゃってんの。
とんだお宝映像が、NHKで。

なのに、だ。
私、「ワァ〜オ〜」って気持ちに全くならないんです。

お尻とかもね、全然モザイク 間に合ってないから、
朝青龍と私なんて、口だってまだそんなにきいたことも無いのに、
お尻 知っちゃった、この他人じゃない感じ。

でも朝青龍だけじゃないんです。

そんな男性たちが、何の因果か、あんな小さなサークル内で、
たわわな果実が、押し合い へし合いしてんの。

もうね、異性として、たまらない気持ちになるべきです。
なるとこです。

・・・ピクリともしないんです。
どころか、
「がんばれー」つっちゃってるんです。
あたしが、がんばれ。

異性のモロだしを目の当たりにしながら、
なぜ、微動だにしない?
店主はクラッカーを鳴らさない?
私の下のWindows、全然 起動しない。


ってことは、だ。

私の今のイメージトレーニングだけでは、結構、まずいんじゃないかと。

裸になれば、おのずと互いに、そういう気持ちになるかと思ってたけど、
そこから、もう一段階、自分を高める必要があるかも、と。

むしろ、その未熟さが男性に伝わってたがゆえの経営難だとしたら、
全然、手違いじゃねぇー。
完全に、私の怠慢です。練習不足です。


そういえば、昔、何か男女の営み最中に、ホラ貝を吹くのとか、あった。
「すげぇから」とか言って、男子達がビデオ回してた。

それを見て「やだあ〜」と言ってた自分を殴りたい。

もうね、すごい。
男性陣。全員イチロー
ホラ貝とかね、どうやったら思いつくの。そして、結びつくの?

私なんて、今まで生きてきて、「そうだ、ホラ貝!」って思った場面ゼロ。
ホラガイとのビジョンひとつ、まるで描けず、なあなあに生きてきた。

つーか、ホラ貝なんてね戦国時代の戦いの合図なんですよ。

それをこのタイミング吹こうなんて、もうね、エロに対する心構えからね、
私なんて全然だったっつーことです。
手を出されないわけです。

あとね、ホラ貝の吹き方のサイト調べて見たら、
ホラ貝って吹くのにすごい肺活量が必要で、
音が出せるようになるまで、一週間以上かかるらしい。

それをね、男女の営み真っ只中で奏でちゃう女性を目の当たりにして、
殿方は育ってきたわけです。
もうね、モチベーションが全然ちがう。高い。常に高い。

もうね、全然駄目だ。あたし。
ホラ貝、って気持ちが28歳にもなって全然なかった。
ホラ貝っつーマストアイテム、どこで手に入れるのかも知らない。
そりゃね、営めるはずがない。

なのに、あわよくば海の見えるホテルで・・・なんて、
海つったら、まずホラ貝だろ!って。

あ、海・・・・!

ああ、だから初めては、海の見えるホテルなんだね。
ホラ貝 持ってない子が多いから。
現地で調達できるようにって。

男の人って、超、深い。
まるで、海のよう。
ホラ貝を耳に当てると、波の音が聴こえるっつーのも、
全部そういうことなのね。

マジパンツ

『そんな小さな布切れ一枚で何ができるって言うのよ!』

『パンツができるよ』


                                                                                                                                                              • -


加藤です。


そういえば、こないだ本屋で考えさせられる本を見つけたんです。

何か「パンツを売ってる少女たち」を描いちゃったドキュメントタッチの本なんですけど。

で、ところせましと少女たちの内面にぐぐっと迫ったりなんかしちゃうんだけど、
ほんとね、内面とかに迫る前に、まずそのパンツ売れんの?っつー話なんです。

遅ればせながら、私もね、今日とかね確実に穿いてるんです、パンツ。
もうね、パンツを穿かずして外には出られない、
パンツを穿かない日はないっつーくらいのパンツ愛好家です。

そんなヘビロテアイテム・パンツを手に入れるつったら、もっぱら、デパート。
大抵、三枚1000円くらいのを非常にお手ごろなお値段で
購入できちゃうんですよねー。

でもね、この少女たちの手がけてるパンツはね、全然相場が違うんですよ。
一枚が5000円〜万単位の世界ですから。

で、そのパンツにダイヤか何かついてんのかっつーと、
ほんともう、ご家庭でよく目にするような感じなわけです。

「ちょっと何かお高いんじゃないの?」
とか口を挟もうもんなら、裏から支配人っぽい人が出てきて、

「これ実は、使用済みなんで・す・よ」
とか小声で耳打ちされる。


それ長所?


つまりね、長所かっつーことなんです。

パンツの履歴書 書いたとしたら、「長所」の欄に「使用済みなことです。」って書いて面接通るかっつーことです。言いたいのは。


もうね、私くらい毎日パンツをはく人間としては、
パンツの決め手つったら、新しいことです。

畳と女房とパンツは、新しいものに限る。
もっと詳しくいえば、畳と女房のパンツと自分のパンツは、新しいものに限る。

ほんとね、新しければ新しいほどいい。間違いないわけです。

でも、毎日おニューのパンツなんて、家計の首を絞めかねないわけ。
だから、まぁしぶしぶね、洗濯したりして、やり過ごしてるわけです。

なのにね、支配人はまたこうも耳打ちしてくるわけです。


「洗ってません・か・ら!」


売る気あるのかっつーことです。
パンツの売れ筋、わかってんのかって。
つーか、パンツの気持ちわかってんのかって。

パンツに恥かかせんなってことなんです。

パンツにとって一番の恥は洗ってないってことですからね。

洗ってないことが、自分だけではなく、周りの人をも傷つけたりするからね。

日常生活で「え、パンツ洗ってないの?」って言われたら、もう社会人としては最期ですからね。


で、まぁ何が言いたいかって、「あなたにとってのパンツって何?」ってことなんです。


私のパンツなんかね、割とね わんぱくの名を欲しいままにしててね、
休み時間にトイレに行き忘れるチョイ悪な私を、どっしり支えてくれたりするわけです。
多少のミスなら、俺が全然カバーすっから!みたいな信頼関係がある。

私も私で、パンツのことは何でもお見通しで、
これ以上頑張らせたらアイツ潰れちまうな、とか
敏感に察知できる。ま、ちょっとクサイセリフだけど、絆っていうのかな・・。

そんな大切なパンツをね、
私のキラーパスを必死に受けてくれたパンツをね、
たとえ何万つまれたって、売りに出せるわけがないんですよ。

で、まぁ奇跡的にノーミスの日もあるわけです。
そんなパンツはね、殿堂入りですよ。もう。
パンツの完全試合ですから。

ヒーローインタビューでは「後半グッとこらえました」とか言うよ。


つーか、いわばね、私にとってパンツっていうのは、マジックペンのキャップみたいなもんなんです。

あいつがいなかったら、私みたいなフタのないマジックに近寄ってくる人はいないし、
さんざんまわりに痕跡を残したあげくに、カッピカピになっちゃうんです。
パンツが無かったら、もう、私は孤独だった。

そんなパンツを売り飛ばすなんて。

パンツもパンツで、確かにキャップはスゴイ優秀だけど、
キャップだけじゃ、あっても仕方ない。
穿いて初めてパンツなんです。

私とパンツの仲は、切っても切れないわけです。


でもね、私も もう27歳。色んなドラマが起こりえる年代なわけです。
忍び寄る殿方の影だって、この先 無いとは言い切れないんですよ。
つーか、今まで無かったことが不思議なくらいなんですよ。

別れは、ある晩 急に訪れます。

私とパンツの仲を引き離そうとする一本の腕。

「だめ・・」多分、私は言います。

するとパンツが、
「いいんだ。もう十分だ。
 オレより大事なやつが、できちまったんだろう?」

「・・そんなこと・・」

「オレは行くよ。」

「・・パンツ・・」

「泣き顔はお前に似合わないぜ」

「・・ねぇパンツ・・それって・・私達、もう・・さよならってこと・・?」

「いや。」

「・・・」

「オレはお前が困ったときは、いつ、どこにいても、必ず助けにいくぜ・・」



パンツ――――――――――――――――!











その人にとって、一番重要なものは何かを探るために、よくこういう風に質問する人がいる。

無人島に1つだけ持っていくとしたら、何?」

ところが私はいつも、二番目に重要なものを答えることになる。


だって一番重要なものとは、無人島に流れ着いたときには、すでに一緒にいるから。


ねぇ、ぱんつ。





(あ、ここで山下達郎の「ずっと一緒さ」 お願いします。)

カトウ式(処女という100%の避妊法)

仕事場の後輩から「出来ちゃったんですー」って相談されまして。

相談っていうか、完全な事後報告だったんですけど。
職場内でも、ケツから二番目くらいに教えてもらったんですけどー。

いやー、結構なんつーか、信頼されてる方かなーなんて、思ってたっつか、
あれ?おごったよね?二ヶ月前さ、ケーキ、奢ったよね、アタシ?

2週間前にもさ、一緒にご飯食べたよね、絶対。
相談する隙は、確実に与えてたよね?

出来ちゃったかー。
出来ちゃったかー。
そっかー。

いやいやいや、ごめん、正直、事後報告すらされてない。
飲み会の席で、他の人たちから聞いた。またぎき。
しかも、普通に「でもユミちゃん妊娠してるからねー」みたいなノリで。
周りの人たち、うんうん言ってた。
私もさ、うんうん確かにー、って言ったっけ、実のトコ初耳。
思いっきり知ったかぶっちゃったー。
ユミちゃん、何?妊婦なの?ねえ?そこんとこ詳しくー。
って思ってたら、

「加藤は、何て話きいてる?」みたいな風向きになってて。
はい、私、加藤なんですけど。
恐れ多くも、新人のユミちゃんの指導者という立場をおおせつかってるんですけど、

みじんも、聞いてねぇー。寝耳に水ー。彼氏すらいると思ってなかったです、はいー。

でも、うんうん言ってた手前、

「あ、まだ詳しくはアレなんですけど、どうやら妊娠してるみたいだって…えーっと、確か、三ヶ月くらいだったような・・」

みたいな、もうね、汗だくですよ。
妊娠つったらやっぱ3ヶ月でしょーっていうサジ加減だけの発言。
したら先輩たちも先輩たちで、そんな私にね、

「これから、産むのかさー、仕事とかどうするのかさー、
 それとなく聞いといてよ」

みたいなミッションをね、もしくはインポッシブルの方をね、さらっとね、与えてくれちゃうんですよ。

ほんと、身の丈とか考えてー。
私、できちゃったことすら、教えてもらえなかったんですー。
つーか半年近く一緒にいて、好きな芸能人は平岡裕太ってことくらいしか教えてもらってないんですー。つーか、平岡裕太くらい、私だって朝飯前で好きだったっつーの。
そんなことを「マジでー?」「ヒミツですよー」とか言ってコソコソ教えあう程度の師弟関係しか築けていない私たちに、
産むか産まないかとかね、そんなディープな話題、どうやったら、どうやったら、「それとなく」なんてね、聞けるかっつーの。荷が重いっつーの。
っつーか、むしろプライベートの面では、あっちが完全なる師匠で、こっちは全般未知の領域なのに。

でもね、上下関係って恐ろしいものでね、「聞いてみまーす」ってツルって言ってました。一種の条件反射だと思う。



で、昨日昼休憩の時、

「えっと、なんか、あれだって?妊娠…体調とか大丈夫?」

みたいなね、もうね、何かこっちの方が気ぃ使ってね、
こうね、完全に変な間合いで切り込んじゃったんですよ。タモリの話してたのに。

したらね、あからさまにね、「え?」みたいな顔するんです。
驚きの「え」じゃなくて。
不良で言えば「あー?」みたいなタイプの「え」でした。

もうね、新人相手なんですけど、完全に萎縮。
期待のルーキー登場かなって。
なんかもう、私なんかが、口を出すことじゃないっつーか。

したら、
「あれー?加藤先輩に言ってませんでしたっけー?」
みたいな、
「あれー?言った気になってたー」
みたいな、
で、最終的に
「加藤さん、忘れちゃったんじゃなくてですかー?」
みたいな。

もうね、場所が場所なら「何時何分地球が何回回った時っ言ったの!!!」ってね、喉の辺まで出かかったんだけど、
なんつーの、指導者と指名を受けたときから、もう、娘だと思って育てようって、実の娘だと思って愛していこうと決めてたんです。

だから、えっと、「どうしよっか」ってことを、オブラード十二単くらいにきせて話したんだけどね、ユミちゃん曰く

「避妊してたのに、彼が しくったんですよー」

とのこと。

「外出し、へたくそなんですよー」

とのこと。

「外…っ、それは避妊っつーか…」

「え?加藤先輩はゴム派なんだー」


うちの娘に限って・・・!!


ユミちゃん・・・、注射が不安ですって泣いてたユミちゃんの…病気のこと、もっと分かる様になりたいんですって頑張ってたユミちゃんの、同じ口から、そんな言葉が。しくったとか。

そして、私は、ゴム派なのか。
来月のあたまあたりに、このペースでいくと、確実に27になるんですけど、生まれてこのかた、ゴムの恩恵に授かったことは無いのにゴム派なのか。


「(ゴムはあえてスルーして)
 でもさー、外って言っても、そうそう上手くはできないっていうか」

「えー、上手い人は上手いですよー」

この辺でね、もうね、完全に出来レースなんですよ。
嫌な予感したの。
あー、加藤やべぇ。
加藤、絶対負ける。
引き際って言葉を思い出せ。

「で、でもさ、上手くてもさ、100パーってわけにはさー」

「そりゃ科学的には100じゃないでしょうけど、
 私の経験的には、人によってって感じですよー」


あら?

あら今?

え?
なにそれ。
ちょっと待って。
今さ、今さ今さ今さ、サラッとさ、私の「100パーってわけには」っていうセリフをさ、「科学」で くくっちゃった?
そっちに分類されちゃった?
待って待って待って。
経験かもしんないじゃん。
なんで、私の統計だけ、文献参照みたくなっちゃってんの?
確かにね、ほんとねナケナシのセリフでした。雑誌の受け売りです。参照しまくりです。
でもさ、知らないわけじゃん?ユミちゃんは。
私が経験で言ってる可能性も捨てきれないはずじゃん?
ってことは、何かな?イメージかな?
経験少ないゴム派のイメージ先行かな?

って思って、気づいた時には

「いや、別に、科学的ってだけじゃなくて」

って言っちゃったような、言ってないような、言ったかなー、私、そんなこと。

「え?加藤先輩の経験上そうだったってことですかー?」

「いや、だからー、経験っつーかー」

頑張れ。頑張れ、加藤。

その時ね、ユミちゃんが言ったんです。

「例えば?」

って。


例えば?
例え話もアリなの?


「例えばね、・・・ゲロとか。」

「え?(不良でいうところの「あー?」)」

「えっと、気持ち悪くて、我慢できないときゲロが出ちゃうじゃん?
 同じ人でも、酔ったとかで上手いこと便器に出せることもあれば、
 ほんと具合わるくて、公衆の面前で吐いちゃうこともある。
 その状況によるっていうか。
 だから、ほんとは吐きそうな時は、いつも万全に
 酔い止め飲んだり、エチケット袋持ったりってするべきじゃないのかな。」


自分でも、すげぇと思った。
これは、加藤、やったんじゃない?って。

したっけユミちゃん、

「あれ、今って外だしの話してたんじゃなかったですっけ?」

って、あっ!通じてねぇ!

三日に一度は一線越えてる

医学はその輝かしい発展と共に、私の上に暗い影を落としている。

今日、私に微笑むのは、光なのか はたまた闇なのか。



ってことをね、もう三日くらい前から言いたくて言いたくて。

ほらね、私とかね、何の因果か国家相手に「看護師でオーケー」みたいなお墨付きをね、頂いちゃってるわけで、白衣に身を包み放題の包みっぱなわけですよ。あ、今日も包んどいたよーみたいな商店街っぽさで。

そんな私だもの、たまにはね、ガツンとね、医療界にね、言ってやりたい。提言したい。
厚生労働省とかね、現場にほんと耳とか傾けてほしい。



えっとね、薬って色々あるじゃん。

それをね、伝票見ながら捌いてたわけ。

松本さんには目薬さして、吉田さんには内服飲ませて、
えっと田中さんには座薬かぁ・・・。って。

もうね、他人様に座薬入れるってだけでも激しい仕事だなーって、
思ってたわけ。

で、次。



「 渡辺花子   膣錠 」



何かの手違いじゃないっすか?

そんな単語ありましたっけ?

えっと、そこはですね、とても「錠剤」の付け込む隙があるポジションじゃないっつーか。

ち、ちち、膣って、だって、ねぇ?
そんな、常備薬とかがあるようなフランクなお付き合いをしちゃう場所でしたっけ?


一応、先輩にも確認した。

「いやー、まさかねー、いくらなんでも、これは無いっすよねー。
 これがOKなら何でも有りっすよねー」
みたいな感じで。

「あるよ」
あ、先輩、案外真顔。


膣錠。
有りらしい、医療界では。
暗黙の了解らしいです、膣錠。

無茶、だ。

だって膣ってアレよ?
あの膣のことだよ?
あたしだって、未だ生で拝んだことはない、あの お方ですよ。

近くにいた、同期にも話しかけた。
「これ・・・ち、膣錠っつーの?やったことある?」

「あー、あるよ」

おまえもなの?
4年間、共に学んだおまえも、そんなことペロっと言っちゃうの?

「え、え、え?これさ、どうやってやんの?」

「別に、普通にだよ」


普  通  じ  ゃ  な  い  で  し  ょ  !

これ、普通のことじゃないでしょ!
これが「普通」にカテゴライズされちゃったら、この世で起こる大抵のことは普通のことになっちゃうでしょ!


とはいえ、「普通に入れるだけ、らしい」(同期談)。


そこまで言うなら、入れましょう。
こう見えてもね、ナースのはしくれ。
入れるときは、ガツンとね、入れちゃうよ。


で、まぁ病室に行ったんだけど、渡辺さんと初対面。

膣の方にお薬を〜なんつっても、渡辺さん「はいー」なんつって、どんだけ無防備なんだっつーの。

ほんと、何か、渡辺さんの人生に初登場の、えっと、赤の他人の、えっと加藤って言うんですけど、

いいのかしら?入れて。膣錠とか、入れて。

と、パンツを脱がした時点で思ったんですけど、
どう考えても、あたし達・・・そこまでの仲じゃないよね・・・?

膣とか、そういうのってもっと、
知り合って、仲良くなって、時にはケンカしたりして、でも何だかんだで仲直りとかしちゃって、いつの間にかお互いが空気みたいな存在になりながらも、確実な信頼関係っていうか、
そういう確固たるものの先に、膣があるわけで、

こんな見ず知らずの加藤に、膣のポジションを許しちゃっていいの?

しかも、私、自分の膣にすら挨拶を交わしたこともないのに。



膣錠。
医学はその輝かしい発展と共に、私の上に暗い影を落としている。
今日、私に微笑むのは、光なのか はたまた闇なのか。

心を決めて、薬の封を切ると、これまた、結構でけー。決心揺らぐわー。

錠剤の枠、ギリッギリ。
十円玉みたいな形。

おいおい、と。
ちょっと待てよ、と。

せめて、なめらかな丸い形でしょう。
自動販売機じゃないんだから。

とにかく、指に乗せてみた。

ねぇ、口じゃだめなの?経口摂取じゃ駄目だったの?

いやー自分、膣専門っすからー。みたいな。


入れました。満を持して。


入れて、さ。
入れてつーか、今まさにね、入れながら思ったんですけど、

膣って、どっからが膣なの?

自分が膣と思った時点で膣なのか、
いや、自分の限界まで進んでこそ初めて膣に辿りつけるのか、
はたまた、家に帰るまでが膣なのか、

悩んだ末に、結構ね、手前で引き返してきました。

ほんとね、迷子になるかと思った。



そうやって、私たちナースはいつも迷いながら白っぽい巨塔を支えてるよー。
看護師増やせー。
厚生労働省とかね、とりあえず、膣錠入れてから話ししようや。



あ、やべ、加藤ステキ。今夜、私に抱かれたい。
明日あたり、礎(いしずえ)になっちゃいそう。

乳との遭遇

今日という今日はね、もうハッキリさせようと思って。
白黒付けようと思いましてペンを取ったんですけどもね。


私はね、この世で、 おっぱい ほど疑わしいモノは無いんじゃないかなって思う。

乳とか言っちゃって、おめぇ…何様のつもりだって、言いたい。


もうね、一歩外に出れば、巨乳がどうしただの、あいつのスイカップがすげぇだの、いや、俺は貧乳も嫌いじゃないっつーか、だの、もう引っ張りダコじゃないですか、乳という乳が。

乳の話題で持ちきりじゃないですか。

女の子も女の子で、形がくずれるとか言ってブラ選びとか、すっごいじゃないですか。
牛乳とか飲みまくってるじゃないですか。


マジか、と。
いいのか、と。
騙されてんじゃないか、と。

いつまでもアイツを乳の座に君臨させていていいのかって。


例えば、足。

足、結構、頑張ってる。
足がいなかったら、移動とかホント困難になる。
道端のウンコとか避けずらくなる、異常に接近戦になる。
ありがとう、足。

例えば、手。

手の努力も尋常じゃない。
もうね、日常のほとんどの事を、甲斐甲斐しく手のヤツがやってくれてる。
汚いことは全部、私に代わって、手が請け負ってくれる。
ありがとう、手。

はたまた、ケツ。

こいつらが二人いてくれて良かった。
もしケツが二つに割れてなかったら、ほんと肛門とかね、表舞台に躍り出て、ヒドイ目にあってたと思う。
ありがとう、ケツ。


で、乳、おめぇ。

あれ?

おめぇ、寝てた?

人の話ちゃんと聞いてた?


もうね、乳のね、仕事量がね、ないの。
毎日が夏休みになっちゃってんの。

目にしても、指にしたって、毎日セカセカ働いてるのに、
かたや乳。全然、動いてねぇ。棒立ち。

気を許すと、軽くうなだれちゃったりしてる。

もうね、完全にニート化しちゃってるんですよ。

なのにね、やたらウハウハでしょ。
乳っつーだけで、レースの下着とかに包まれちゃって、
乳っつーだけで、みんなの視線を独り占めして、

男『なーなー「いっぱい」の「い」を「お」に変えて言ってみて』
女『やっだー!もぉー!』 ヤイノヤイノ 

あわよくば、クイズ形式にまでされちゃってんですよ。

え、こいつ、そんなにイイ仕事すんの?
って、見てみたら、全然使えねぇわけ。
契約一つ取ってこない。
なのに、この待遇。


もうね、男女の交わりにおいてはね、
あわよくば我先にとね、男子と戯れたりしちゃうわけですよ。

待てよ、と。
そこはね、大人になれよ、と。
だから、ここはひとつ乳には、

「いやぁ、自分なんて、まだまだ半人前っすから、ほんと、足ニイサンより先に揉まれるなんて、ほんと、自分、自信ないっすから」

くらい言って欲しい、したら、まぁ足も足で、

「ばぁか、オレはお前のこと、弟子とか以前に、弟のように可愛く思ってんだぜ。だからオレに今更遠慮なんて無用だぜ。これも勉強だと思って、ここは黙って揉んでもらえ」

「足ニイサン…(ニイサンはいつも未熟なボクのことを支えてくれた。ねぇ、足ニイサンこそ、本当はボクが探し求めていた、生き別れになった本当のお兄さんじゃないのかな。いや、今はこんなこと考えてる場合じゃない)ニイサン、ボク、ニイサンに最高の初舞台を見せるっす!」

したら、それを影で見てた左足のやつが、

「あいつ、ちょっと見ないうちにデカクなりやがって。いいのか右足?本当のこと言わなくて。お前が生き別れになった本当の兄だって…」

「いいんだ…乳には乳の、足には足の、…生き方があるんだ」


とかだったら、ちょっと泣ける。

あ、やべぇ、全然エロくない。

こけらおとし

い、今、「タンポン」とか言った奴、誰だ―――――っ!


全く、物騒な世の中になってきました。

タンポンだとか、タンポンじゃないとか、
タンポンしてれば生理でもプール入れるよ、とか
ホント、危うく口車に乗っちゃうとこだった。都会、チョーこえぇ。


いや、年始におもっきり温泉行くことになったんですが、

なんつーかな、前日の夜半にトイレにて、
ちょっとした松田勇作みたいな感じになりまして、

ほんと、なんじゃこりゃぁって撃たれたのが、案外、下。案外、中央。割と下半身。

いやぁ、26年、全く滞りなく、スムーズな進行でもって、
今月もね、耳をそろえて来るもんが来たわけ。

私の股間の奥底で今か今かと日の目を待つ星一徹が、
今月もあまりの妊娠の可能性の無さに、ちゃぶ台をひっくり返す一週間が始まった。


で、まぁ、数時間後には温泉旅行が待ち構えているわけです。


このとき、この中野の端で、生きるか死ぬかのデスマッチの火蓋が静かに切って落とされた。



処女 VS タンポン



完全にアウェー。
完全に異種格闘。

まさか、この子と戦う日が来るなんて。
この子とだけは、戦いたくなかった。


とりあえず、すげぇ説明書読んだ。

一言一句逃さなかった。
ほんと、ミスとか、ちょっとした気の緩みとかが、大事故を引き起こしかねない。

ちょっと、秤(はかり)にもかけてみた。

8グラムだった。・・・よし。

質量では私に分がある。

よし・・・。


素振りとかも、してみた。

こう来たら、こう。みたいなイメージトレーニングも欠かさなかった。


さて、と。


赤コーナーから得意のステップを奏でてリングに昇る私。
ちょっとした防衛戦。

青コーナーから立ち上がる挑戦者のアイツ。

26年、何の荒波にも揉まれず、十姉妹とかを人差し指に乗せながら窓辺に佇んでた私の下半身の愛娘に、初めて挑戦者・・・は、人じゃなかったかー・・。


なんせ、ゴングは無常にも鳴った。


いや、なんつーか、戦ってみないと、敵の本質って見えないものですね。

もうね、手合わせする前から、完全に、私、足とか止まってた。
目とかね泳ぎっぱなし。遠泳。

8グラムですっけ?
確実に絞られたボディー。

8グラムって言ったら、お料理とかで入れるグラニュー糖のレベルですよね?
ふわっふわ、ですよね?

何か、駆逐艦に見えるんですけど。
完全に宇宙船艦なんですけど。

こんなもんを入れた日には、私、一線越えちゃわないかしら。
変に大人の階段登っちゃったりしないかしら。
タンポンの腕枕で目覚めたりしないかしら。

そんくらい、でっかく見える。
背中とか、哀愁帯びてる。

いや、入れるよ。
入れっけど。


もうね説明書とか、横に広げて確認に確認の作業ですよ。
姿勢とか、ほんと大事。

腰とかね、すっごい落としてる。
膝とかね、すげぇ使ってる。

ほんと、マニュアル通り。
基本に忠実。


で、思ったんですけど、

いや、腰を落とすとかね、全然いいんですけど、

何だろう、この手探り感。
完全に方向性を模索してるんですよね。

いや、親切に図とかね、乗ってるんですけど、
3パターンくらい乗ってるんですけど、

どいつもこいつも完全にブラインドタッチなんですよね。

自慢じゃないけど、私なんて26年手付かず土付かずなとこ、あるわけじゃないですか。

ほんと、自分には自分、下半身には下半身の生活があって、お互い、ほとんど干渉しあわず生きてきたわけです。
ちょっとした遠距離恋愛みたいな。
電話で声聞くのが精一杯みたいなとこあるじゃないですか。

はたまた、ちょっとした家庭内別居みたいな感じで、
あいつがどこで何してるかなんて、わかったもんじゃないっつーか、

いや、まぁ、具体的に言うと、・・位置っつーの?
あいつまで到達するシュプールが全然描けないんですよ。

ほんと、自分の下半身の大体の方角は分かってても、
どこに入れるとこがあるとか、そんな具体的な位置関係の把握は、
いつかどこかで出会う白馬の王子さまがトレジャーハントしてくれると思ってた。

まさか自分で探索すると思わなかった。
GPSとか付けとくんだった。


で、まぁ、手鏡とか添えてみたわけです。


左手で鏡持って、右手で挑戦者を持って、空気椅子みたいな姿勢で、ほんと正月からちょっとした討ち入りだった。敵とか本能寺にいた。

汗だく。
途中4回くらい水分補給に行った。
ちょっと漫画も読んだ。
ほんと言うと、カレーとか食べたりもした。

何本もの挑戦者が、任務を全うできずに、私の前から去って行った。


一つ、解ったことがある。
両手が塞がったら、無理だ。
鏡は固定しよう。

もう一つ解ったことがあった。
中腰は無理だ。
座ってやることにした。

そして、最後に気づいたことがあった。
もう、一本しか残ってない。
実験!とか言って、水で膨らませて遊んでる場合じゃなかった。

追伸。
待ち合わせの12分前だった。


良くも悪くもファイナルラウンド。


いや、まぁ、まさか自分のこんなアラレモナイ姿を見せるのが、
殿方にではなく、自分自身にだったなんて。
26年目にして渾身のセルフサービス。

股間歴26年目のビックイベントですよ。

26年連れ添って、下半身のあんな焦った顔、初めて見た。

まじっすかー!つってた。
アルマゲドンアルマゲドン、言ってた。
最後にちょっと敬礼してた。


で、まぁ、無事任務をやり遂げまして、
電気カチカチやるヒモ付きみたいになってる自分を、
誇らしくさえ思いました。
冬のマストアイテムかと思いました。CanCam1月号の表紙とか、多分あたしだな。



なんつって、2歩くらい歩いたら、さっそくコトリと抜け落ちました。

あたし、ちょっとタマゴ産んだかと思った。


全然入ってなかった。

いや、まぁ、何となく途中の段階で、これは、私の手に負えない感はあったっつーか、
うちの敷居をそう簡単に跨がせてたまるかっつーか、
温泉とか風邪引いたことにしちゃおうかなーっつーか、

とにかく、私は頑張った。
26年で一番、頑張った。

大人のおもちゃのチャチャチャ


おす!
最近どう?
ラヴィアンローズな日々を送っちゃってる?

えっと、こっちサイドとしては言うも言われぬ処女ライフ邁進中してまーす。

明日で、この下半身ツンドラ生活も26年目にさしかかろうとしてます。
もうね、私の局部においては、全く温暖化の影響はありません。
むしろ「冬のソナタ」はココのことなんじゃないかなーって。

ああ、26年間、誰にも触れられなかった、まさに未開の地アタシ。
埋蔵金とかね、絶対ここに埋めます。
隠居生活とか、この中でします。

そんな1ミリも めくるめかない 永久凍土のような私生活を送ってた私に、今回一通のファンレターが届いたので、紹介させていただきます。


『加藤さんはずっと処女で、つまらなくないですか?
 バイブとかで自分を慰めちゃったりしてるんですか?』


ってわけで、今宵も抜きどころ満載でお送りしていきたいと思いまーす。
今夜のオカズはコレで決まり!


で、三行戻って、

処女がつまらないとか考えたことないです。

正義のヒーローに
「自分だけがいつも平和を守らないといけないのは、しんどくないですか?
 当番制にしたいとか思いませんか?」
って質問したとしても、多分わたしと同じ答えが返ってくると思います。

「いえ、それが私の使命ですから」

26年も処女をやってくると、もうね、それを克服したいよりも、むしろ貫き通したい。

ほんとね週刊誌とかでね
「女は子宮でモノを考える」
とか見るとね、

もうね、どうかしっちゃってるんじゃないかなって。

凄いとこに司令塔置いたなって。

私の子宮なんて、全くの鳴かず飛ばずですよ。
自分が子宮だってことも多分忘れかかってる。

下手したら、自分お花の妖精か何かだと思ってるかもしれない。
窓辺でジュウシマツを人差し指に乗っけながら、
「白馬の王子さまが〜」とか絶対言ってる。
たまに学級会であたしの子宮のやつ「男子が全然掃除をしません」とか発言しちゃうし。
そんな永遠の思春期にミッドフィルダー的なポジションは任せらんねぇ。


というわけで、ずっと処女でも結構いけます。ご飯三杯いけます。



えっと、で、その二行目の質問ですが、えっと、バ・・バ・・バ・・バイ・・えーと、知ってます。

えっと、すごいっつー噂はチラホラ聞いてます。

あいつスゲーって。
すげぇ男らしいって。
あいつの武者震いは 武者を超えたって。

聞いてます。

あいつの活躍ぶりも、何となく耳にしてます。

なんか引っ張りだこらしいね。


で、本題としては、あいつで私が自分を慰めちゃってるかどうかっつーのが焦点になってくると思うのですが・・・


えっと、あいつの背格好・・見た?

結構、良い体つきしてるよね?
思わず、「スポーツなんかやってた?」って聞きたくなるよね?

一方、私ですがね、ご存知の通り26年近く全くの土つかずです。
土つかず、手つかず。

ほんと男女の情事なんて見かけた日には、これがあの「世界が恋したドラリオン」かなっつーくらいのスペクタクルで処女なんです。

手とか繋いだ日には、口とかカラッカラですよ。
汗ばむどころか、カサカサになっていくと思います私。

そんな経験値のアタシから見るとさー、
あいつなんてさー、
とても自分を慰める道具には見えないんだよねー。

ほんと、ちょっとしたチェ・ホンマンかしら?っつーくらいに見えるんだよねー。

・・絶対、手合わせしたくねぇ。


っつーわけで、チェ・ホンマンいらずの日々を送ってまーす。


明日で26歳になりまーす。ヤッホー。
浮いた話、全然ないでーす。
誕生日に君が欲しい、とかいうサプライズ企画もめっきりないでーす。

あたしの股間、多分、壊れかけのradio!

アナルセックス(この道を行くなら、あたしを倒してから行け!)


私はね、結構ね頭が良いって自負してるとこあります。

だからね、私くらいの域になってくると、二足歩行とかね、火をおこすとかね、いやこれ結構わたしでも編み出せんなコレ、とかね思っちゃったりするわけ。

初めて火をおこした奴の、そ、ソウルとか?ま、マインドっつーのかな、なんか、ちょっとわかるっつーか。(キムタク風)

結構ね、逆転の発想とかね、好きなんですよ、だから、まぁ私があの時代を駆け抜けたとして、絶体二足歩行はキメてたなって。


でもさ・・・・・・


SEXだけは、セックスだけは・・・


ぜってー編み出せなかったと思う。


隣の村の奴とかが編み出したとしたら、
まず認めないよね。
むしろ軽蔑すらしそう。

や、ないでしょ。それは。 ってもう真顔ですよ。火おこしながら真顔。

エロっていうのはさ、そういうのじゃないじゃん?
そんなんさ、残酷じゃん?

エロっていうのはさ、浜辺じゃん?

浜辺でさ、追いかけっこじゃん?

追いかけっこしてた男女がさ、

こう、なんつーか、捕まえられた瞬間、勢いあまって倒れたりして、なんか計算外に押し倒すような格好になっちゃったりして、


あ・・・        (ザバーン・・)(←波の音ね)


っていうことでしょ。

ど、ど、ど、ど、どーなっちゃうのアタシたち・・。ってことでしょ?

エロて。

それが、あんた、
あんなノーマークでぼんやりと質素で それでいて平凡な日々を暮らしてる 生まれながらにしてすでに隠居暮らしみたいなアタシの腐海(ふかい)の森に、
あんな極道?もしくは不発の核弾頭?それか若き日の岡本太郎か何かかしら?みたいなよくわかんないもんを、
あんた、入れるって!入れるわけないでしょう!

どんだけ懐深いと思ってんだ。
一杯のかけそばかっつーの。
全米が泣くっつの。


エロはね、違うよね。
そうじゃないよね。







違くありませんでした。

現実は小説より奇なりー。

あいつら ちゃっかり入れてやんのー。

onがinされてwith!withっ・・!最後はof!! みたいなことが平然と執り行われてました。


でね、納得はいかないけどさ、やっぱそこまで愛し合っちゃってたら仕方ないなって、
もうね見守るしかないなって、
思ってました。


なのにね・・・。


先日、友人とカフェで、

カフェっつーかルノアールで、


なんか友人が頬染めて

『実は・・』

みたいに言うから、

わー、聞きたくねぇー・・、って思いながらも

『なになになに?』

つって、持ち前の社交性を発揮したら、

『実は、痔になっちゃった☆』

っつーから、

『おめぇ、それ頬を染めて言うことじゃねぇーから!』

つったら、

『だってー、彼がー、お尻でしたいっていうんだもん☆』

って、駄目押しに頬染めてました。


いや・・それも、頬染めるとこじゃないから・・。



つーか、私なんて青ざめたっつーの!

何ちょっと誇らしげな感じになっちゃってんの!

BGMは今井美樹かなんかですか?



いやね、男女の営みにおいて、ね、お尻を用いるっていうのを、ね、
何かの風の便りで聞いたこともあるけど、ね、

あれはなんつーか、一種のファンタジーみたいな。
スペースファンタジーみたいな。

なんなら徳川の埋蔵金みたいな。

あったらいーなー。くらいのね、夢見る感覚っつーか。

もうね、いい大人ですもの、
やっていいことと、やっちゃいけないことの区別はついてるはず。

友人がどんだけドラマチックに痔に至ったサクセスストーリーを語ろうとね、

尻から入れられるなんて、もう、完全なミストラブルですよ。
もしくは完全犯罪。

あそこはね、自他共に認める一方通行区域なんですよ。
ほんとね、交通整理とか、時給600円くらいでケツの前にも立たせた方がイイ。



という再三に渡る私の警告もむなしく友人は、


『でもー、彼、クセになっちゃったっていうかー、なんかそれでも求められてる感じで断れなくてー、それが女としての生き甲斐っていうかー』


みたいな多分火星あたりの言語を喋り出したので、


『あ、じゃあさ、彼氏の如意棒を彼氏のお尻に刺して、輪っかみたいにして、それをチェーンで繋いでストラップにしちゃいなよー』


って、適当に言いながら、トイレと言って席を立った。


トイレに入って溜息を付きながら つるっと用を足して、
そのあまりのエレガントさに、
アタシの奥の細道は今日もばっちり交通ルールが守られてることを誇らしくすら思った。