アナルセックス(この道を行くなら、あたしを倒してから行け!)


私はね、結構ね頭が良いって自負してるとこあります。

だからね、私くらいの域になってくると、二足歩行とかね、火をおこすとかね、いやこれ結構わたしでも編み出せんなコレ、とかね思っちゃったりするわけ。

初めて火をおこした奴の、そ、ソウルとか?ま、マインドっつーのかな、なんか、ちょっとわかるっつーか。(キムタク風)

結構ね、逆転の発想とかね、好きなんですよ、だから、まぁ私があの時代を駆け抜けたとして、絶体二足歩行はキメてたなって。


でもさ・・・・・・


SEXだけは、セックスだけは・・・


ぜってー編み出せなかったと思う。


隣の村の奴とかが編み出したとしたら、
まず認めないよね。
むしろ軽蔑すらしそう。

や、ないでしょ。それは。 ってもう真顔ですよ。火おこしながら真顔。

エロっていうのはさ、そういうのじゃないじゃん?
そんなんさ、残酷じゃん?

エロっていうのはさ、浜辺じゃん?

浜辺でさ、追いかけっこじゃん?

追いかけっこしてた男女がさ、

こう、なんつーか、捕まえられた瞬間、勢いあまって倒れたりして、なんか計算外に押し倒すような格好になっちゃったりして、


あ・・・        (ザバーン・・)(←波の音ね)


っていうことでしょ。

ど、ど、ど、ど、どーなっちゃうのアタシたち・・。ってことでしょ?

エロて。

それが、あんた、
あんなノーマークでぼんやりと質素で それでいて平凡な日々を暮らしてる 生まれながらにしてすでに隠居暮らしみたいなアタシの腐海(ふかい)の森に、
あんな極道?もしくは不発の核弾頭?それか若き日の岡本太郎か何かかしら?みたいなよくわかんないもんを、
あんた、入れるって!入れるわけないでしょう!

どんだけ懐深いと思ってんだ。
一杯のかけそばかっつーの。
全米が泣くっつの。


エロはね、違うよね。
そうじゃないよね。







違くありませんでした。

現実は小説より奇なりー。

あいつら ちゃっかり入れてやんのー。

onがinされてwith!withっ・・!最後はof!! みたいなことが平然と執り行われてました。


でね、納得はいかないけどさ、やっぱそこまで愛し合っちゃってたら仕方ないなって、
もうね見守るしかないなって、
思ってました。


なのにね・・・。


先日、友人とカフェで、

カフェっつーかルノアールで、


なんか友人が頬染めて

『実は・・』

みたいに言うから、

わー、聞きたくねぇー・・、って思いながらも

『なになになに?』

つって、持ち前の社交性を発揮したら、

『実は、痔になっちゃった☆』

っつーから、

『おめぇ、それ頬を染めて言うことじゃねぇーから!』

つったら、

『だってー、彼がー、お尻でしたいっていうんだもん☆』

って、駄目押しに頬染めてました。


いや・・それも、頬染めるとこじゃないから・・。



つーか、私なんて青ざめたっつーの!

何ちょっと誇らしげな感じになっちゃってんの!

BGMは今井美樹かなんかですか?



いやね、男女の営みにおいて、ね、お尻を用いるっていうのを、ね、
何かの風の便りで聞いたこともあるけど、ね、

あれはなんつーか、一種のファンタジーみたいな。
スペースファンタジーみたいな。

なんなら徳川の埋蔵金みたいな。

あったらいーなー。くらいのね、夢見る感覚っつーか。

もうね、いい大人ですもの、
やっていいことと、やっちゃいけないことの区別はついてるはず。

友人がどんだけドラマチックに痔に至ったサクセスストーリーを語ろうとね、

尻から入れられるなんて、もう、完全なミストラブルですよ。
もしくは完全犯罪。

あそこはね、自他共に認める一方通行区域なんですよ。
ほんとね、交通整理とか、時給600円くらいでケツの前にも立たせた方がイイ。



という再三に渡る私の警告もむなしく友人は、


『でもー、彼、クセになっちゃったっていうかー、なんかそれでも求められてる感じで断れなくてー、それが女としての生き甲斐っていうかー』


みたいな多分火星あたりの言語を喋り出したので、


『あ、じゃあさ、彼氏の如意棒を彼氏のお尻に刺して、輪っかみたいにして、それをチェーンで繋いでストラップにしちゃいなよー』


って、適当に言いながら、トイレと言って席を立った。


トイレに入って溜息を付きながら つるっと用を足して、
そのあまりのエレガントさに、
アタシの奥の細道は今日もばっちり交通ルールが守られてることを誇らしくすら思った。