「ねえ、加藤さん、噂・・・きいた?」
「噂?知らない。聞かせて」
「あの使われてない旧校舎の教室で、2組の子が見たんだって」
「(ゴクリ)見たって、まさか・・あの・・」
「うん、セックス」
「うそー!セックスって本当に見えるの?」
「どうやら、見えたらしいよ。確か加藤さん信じてなかったよね?」
「信じてない。私、セックスとか一回も見たことないし。見間違いじゃない?プラズマじゃない?」
「そう思って、私も昨日、旧校舎に行ったの・・・」
「えー!行ったの?で?で?」
「そしたら、なんか、廊下歩いてたら、使われてないはずの教室から・・・女の人の声が」
「こわー!」
「なんか、こう、すすり泣く、みたいな」
「そ、それ、マジじゃん?マジのセックスじゃん!」
「でね、私勇気出して、覗いてみたの」
「100%勇気!」
「うん。そしたら何か、薄暗い教室で、なんか動いてるのが、うっすら見えて」
「こわー!こわー!」
「なんか、女の人が倒れていて・・」
「ヒー」
「で、その女の人の上に、男が覆いかぶさるように・・」
「男ー!男って、あの 男のこと?!」
「うん、見た。あれは多分、男だった」
「こわー!男って本当にこの世にいたんだ・・・もう、おちおち夜も眠れないよ」
「で、私、もうセックス見ちゃった!って思って、一目散に逃げたんだけど・・・」
「うん」
「・・でも、なんか家に帰ってきたら、雨も降ってないのに、パンツがびしょ濡れで」
「それ、セックスのしわざだよ!!!」
「どうしよう、加藤さん!私、呪われちゃったかもしれない!!」
「こわー!
でもセックスを見ると、数年以内にセックスされるっていうあんな呪いなんてインチキだよ!」
「でも、もしセックスになったら、お腹が腫れあがって、
下半身から得体の知れない生き物が出てきたりするんでしょ?どうしよう・・」
「・・・あ、でも確か、守りの呪文があったはず・・」
「・・・なんだっけ?」
「「今度、産む」!だよ!これを何回も唱えるんだよ!」
「そっか、わかった!加藤さんも気をつけてね!」
あれから数十年。
何人もの友達が、セックスにとりつかれてしまった。
私がいままで、29年もの間、セックスに関わらず平和に暮らしてこれたのは奇跡としか言えない。
でも、もう、私の大事な仲間たちだけがセックスに関わっていくのを見たくはない。
私も戦う!
私は、ついに立ち上がることを決めたのだ!
出てこいセックス!さあこいセックス!かかってこいセックス!今年中に来い!今年で30だよ!