20→30のハイライト

えっと、消えた年金とか言ってね、一緒に私の初体験も消えてませんかね?

20代になったらみんな受け取れるよ☆って少女コミックに書いてあったんですけど。

20代になって、もう9年も経ってしまった。
20代のグラウンドを思いっきり駆け抜けてきた。
私、長友かな?って思うくらい、しつこくボールを追っかけてきた。
「パス!」「パス!」って超アピールしてきた。口酸っぱく言ってきた。

もうね、全然こねぇのパス。
私の下半身あたりのスペースとかね、ガラッガラなの。
なんならキーパーもね、「ちょっとそこまで」つってお出かけに出ちゃってる。

なのに、ほんと、チーズはどこに消えたー?
私の初体験、見かけた方いらっしゃいませんかー?
多分、こっちの方に走っていくのが見えたんですけどー、あさっての方向へー。
そろそろ、お腹を減らしてると思うんです。
道に迷って、心細い思いをしてると思うんです。
もうね、靴とかボロボロになってるかもしれないし、
ちょっとしたヒゲだって生えてるかもしれない。

でも、いいの。
ヒゲなら私もふいに生える系だし。

もうね、隙あらば生える。
思わぬところから、どんどん発毛してくるわけです。
むしってもむしっても右眉と左眉の間に、変なかけ橋がどんどん架かろうとしてくるわけです。

それもそのはず、あと ひと月弱で何の因果か30歳なわけです。
まさかの自己記録更新です。夢の30台。
ここまで来れたのは、育ててくれた両親と支えてくれたマンガのおかげです。

24歳にして、このエロマンティックというエログを立ち上げ、日々エロと向き合ってきたわけです。
30とか言ったらね、もうほぼ杉本彩になりかけてんじゃないかと思いながら、
日々切磋琢磨して、成長してきたわけです。この5、6年。


「あんなんが入っちゃうくらいなら、ポシェットいらないっつーの。
ちょっとそこまで、って時は財布そん中入れてお買い物行っちゃうっつーの。
カンガルーの子供、育てちゃうっつーの。」 加藤はいね(24)

「いやね、苦節25年、抱かれたのは赤ちゃんの頃だけっつー私にとって、潮ふくもんなんて言ったら、鯨ですよ、間違いなく。」 加藤はいね(25)

「い、今、「タンポン」とか言った奴、誰だ―――――っ!
全く、物騒な世の中になってきました。」 加藤はいね(26)

「27歳になりましたー!もうね、堂々たる処女。」 加藤はいね(27)

「1990年、小学校の運動会の棒倒しで、一度だけ男子に押し倒されました。(棒ごと)
 あれがラストチャンスでした。」 加藤はいね(28)

「私がいままで、29年もの間、セックスに関わらず平和に暮らしてこれたのは奇跡としか言えない。」加藤はいね(なう)



全然なってなかった。
微動だにしてなかった。
私の人生でまさか初夜までが、こんなに険しく長い道のりになるとは。